環境の要素
◆界面活性剤の種類とその作用
界面活性剤には陰イオンタイプと陽イオンタイプがあります。陰イオン(アニオン)界面活性剤はマイナスの荷電側が親水基(水に馴染む)となるもので洗剤やシャンプーがこのタイプです。
陽イオン(カチオン)界面活性剤はプラスの荷電側が親水基となるもので洗浄力がなくリンスや衣類の柔軟仕上げや帯電防止剤に使われます。
陰イオン界面活性剤
■直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム=略称LAS(ラス)
石油が原料(アルキルベンゼン系)。皮膚障害をはじめとし人体に有害な場合もあります。環境汚染のナンバーワンと云って良いほどですが一般の方はその怖さに気づかずに平気で使っています。自然環境の中では硫化物を含むため非常に分解されにくく半減期は30年といわれています。
同じ硫酸基をもつS系の合成界面活性剤(ABS,AS,AES,AOSなど)も毒性が強く蛋白質変異性作用があり遺伝子損傷性。皮膚浸透がきわめて強く一度付着すれば洗っても取れず厄介です。
■アルキル硫酸エステルナトリウム=略称AS
石油・植物由来のアルコールを原料とし化学合成で高級アルコール化したものが基剤。高級と付くが品位の高級でなく炭素Cが多いということ。主にココナッツオイル(ヤシ油)を原料としているが硫酸基であることには変わりなくLASほどではないが環境汚染物質であり人体に有害なケースもあります。「ヤシの実洗剤」の類は天然原料を使っていても合成の界面活性剤には違いありません。
この他の硫酸基にはSAS=アルキルスルホン酸ナトリウムとAES=アルキルエーテル硫酸ナトリウム、などがあります。環境への影響力はやや低いようですがまったく安全というわけではありません。

■アルファスルホ脂肪酸エステル塩(SF)(α−SF)

高級脂肪酸のエステルを硫酸基化したもので高級とは炭素数が多い脂肪酸という意味で優れたという意味ではありません。硬度の高い水でも洗浄力を発揮し、水中微生物による分解(生分解)も容易で環境への影響も少ないとされています。

■アルキル硫酸エステル塩
高級アルコールを硫酸基化したもので生分解性が非常によく、洗浄力、洗浄後の風合いに優れています。あわ立ちもよく洗濯用洗剤のほかシャンプーにも使われ一部、歯磨きにも使われています。
■ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩(AES)
長い名前ですが合成アルコールを酸化エチレンに重合した作り方を示しているということです。溶解性がよくシャンプーをはじめ洗顔料などに使われます。
■アルファオレフィンスルホン酸塩(AOS)
硫酸基が付く界面活性剤の中では溶解性がよく、洗浄力とすすぎ性に優れ、洗浄後の衣類の風合いも良好です。皮膚への作用も穏やかです。
陽イオン界面活性剤
■ジアルキルジメチルアンモニウム塩
繊維に対して柔軟効果があり、また帯電防止効果に優れています。ヘアリンスにも使われていて肌への刺激性は比較的少ないとされています。
■アルキルトリメチルアンモニウム塩
主としてヘアリンスに使用、通常はイソプロパノール(アルコール様物質)やエチルアルコールに混合して使われ整髪料の中にも入っています。
■カチオンLQ
洗濯仕上げには使いませんがコマーシャルでお馴染みの髪をサラサラに、しなやかにするヘアトリートメントに使われます。正式名はエチル硫酸ラノリン脂肪酸アミノプロピルエチルジエチルアンモニウムという長い名前です。毒性、皮膚刺激性は不明です。
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資料提供 日本アトピー協会